アスベストを使用した建物を解体する流れ
アスベスト解体工事とは、アスベストが使用された建物を解体することです。
アスベストは実に多くの種類の建材に使用されています。よく問題になっている吹付けアスベスト以外にも、内装の天井材や床材、外壁材などの成形板にも使用されていて、その種類は3000種類を超えるともいわれています。
まずは解体の流れについて見ていきます。一般的な流れですので、建物の状況などにより多少の差があります。アスベストが使用されていない建物を解体する場合と比較して、届け出や粉じんの飛散防止など、多くの対策と手順が必要になります。
注)アスベストの処理方法は人体へ影響するレベルにより危険度を3段階に分けています。段階ごとに飛散対策、作業内容が異なります。
≪アスベスト含有建築物の解体工事≫
- 1.建物の現地調査 アスベスト解体の場合、正確なアスベスト除去費用を算出するために現地調査は必須となります。アスベストが使用されている箇所や濃度によって作業レベルが異なり、解体費用が概算から大幅に増額することも少なくありません。詳細な見積もりを取得することで、実際の費用との差額に驚くことがなくなります。
- 2.各種届出の提出
アスベスト解体工事レベル1の場合は下記4種類、レベル2の場合は3種類の届出をする必要があります。 - ・アスベスト工事関連の届出(大気汚染防止法) ・アスベスト工事関連の届出(労働安全衛生法)⇒レベル2は不要 ・アスベスト工事関連の届出(石綿障害予防規則) ・解体工事関連の届出(建設リサイクル法)
- 3.近隣住民への告知
実際に解体工事が始まれば近隣の皆様にはご迷惑をお掛けすることになります。安全かつ円滑に工事を進められるよう説明しておくと安心です。 また、解体する建物に行うアスベスト使用調査の結果と工事内容を、解体工事現場に提示しなくてはいけないという義務があります。 - 4.引込配管、配線の撤去の手配
ガス、電気などがつながったまま工事を行うと大変危険です。そのため、ガス、電気、電話の引込配管、配線の撤去の手配が必要です。 - 5.足場、養生の組み立て
作業員の足場の組み立てに加え、近隣住民への迷惑を最小限に抑えられるように解体工事の準備を行います。 周辺環境に応じて、作業中の騒音を防ぐための防音パネルや、粉じん飛散を防止するための外壁シートを設置します。 特に、アスベスト除去作業があるため、アスベストの飛散防止のため、慎重かつ確実に養生を行います。
- 6.建物内部の残存物撤去
アスベスト含有建材が使われている天井を残して、建物内部の各種工作物や設置されている機械類を撤去し、スケルトン状態(建物内部の物をすべて撤去して何もない状態)にします。 - 7.飛散防止剤を撒く
現場が乾燥した状態のまま解体工事を行うと、アスベストが飛散してしまうリスクがあります。そのため水や飛散防止剤を撒くことで、作業部付近を湿潤化し、アスベストが飛散しないよう細心の注意を払って作業が行われます。 - 8.アスベスト除去
天井や梁、壁などのアスベスト含有建材を撤去します。アスベストが飛散しないよう、慎重かつ的確に除去を行います。 - 9.周辺のアスベスト除去
作業所内の清掃と合わせて、アスベスト含有建材の撤去に使用した機器に付着したアスベストも除去します。最初に設置した足場や養生シートも撤去し、アスベスト廃棄物は最終処分場へと運搬します。
≪アスベストを含んだ建物の放置≫
アスベストを含んだ建物を放置すると、老朽化した際にアスベストが近隣に飛散してしまい、住んでいる人だけでなく多くの人の健康に害を及ぼす可能性があります。 適切な調査を行い、早めに解体工事や除去作業を行うことが必要です。
*次回は解体廃棄物について紹介していきます。